- ペン先が曲がってしまった
- 落としたりぶつけたりして曲がることはよくあります。
金ペン先でヒビがなければ、ほとんどの場合“ペン先曲がり直し”ができます。
ただし、極端な曲がりまたはイリジュウムの際にヒビがあれば直しができません。
また、スチールペン先も直りません。
- ペン先がざらつく、引っ掛かりがある
- ペン先に曲がりがなくても、新しい物でもざらついたり、引っかかったりすることがあります。
最初の研磨が十分でなかった場合、ペン先全体にゆがみがあったりしますが、ペン先を外さないとわからないことが多いです。
ゆがみがある場合は、ゆがみを取り、再研磨をしないと直りません。
- ペン先の滑りが悪い
- 「ひっかかりもざらつきもないが、ペン先の滑りが重く感じる。」という場合、ご使用の用紙との相性を見てみましょう。
紙によっては、かなり書き味が違ってきます。
いくつか用紙を変えてみて、それでもすべりが悪いと感じれば調整が必要です。
- ペン先が上下にずれている
- もし書き味が悪くなければ(良ければ)、ペン先のずれは気にせずそのままご使用ください。
人は書くときに、必ずペンを右か左にひねって持ちます。
その際、筆圧などによってペン先は自然と上下にずれますが、長い間その状態で使っていればそのまま書き癖が付きます。
これは“貴方だけのペン先になった”ということになります。
ただし、書き味が悪いと感じれば調整が必要です。ペン先が曲がっていることが多いですので、調整させていただきます。
- ペン先の太さを変えたい
- ペン先の太さを変えるには基本的にペン先交換になりますが、太字を中字くらいに、中字を細字くらいに研磨をして細字直しをすることはできます。
ただし細いペン先を太くする事はできません。インク出を多くして少し太く書くことはできますので、ご相談ください。
- 特殊ペン先(B/BB・OM /BB/OBBなど)が書きづらい
- このような特殊ペン先の場合、ご自身の書き癖とペン先の個性が合わないことがたまにあります。
と言った場合であれば、ある程度の調整が可能です。
- 縦・横の線の太さが違う
- イリジュウムの形状によっては縦線と横線の太さが違うことがあります。
これはこれで味のある筆跡になりますが、気になる場合は調整が可能です。
ただし“B/BBあるいはOB/OBB”などの特殊ペン先の場合は、もともとそのように作られておりますので、ペン先の縦横の線を同じには調整できません。
- 線が割れる、二重になる
- このような症状が起こる場合は、いくつかの原因が考えられます。
- 切割(ペン先のスリット部分)が、必要以上に広がってしまっている
- 筆圧が強いことで、書く時にペン先が割れてしまう(スリットが広がってしまう)
- ペン先の腰が柔らか過ぎて、少しの筆圧でもすぐにペン先が割れてしまう(スリットが広がってしまう)
このような場合、書き癖に合わせて調整することで、ほぼ改善できます。ただし、ペン先の腰が柔らかすぎる場合には、改善が難しいことがあります。
- 貰ったor譲られたペンの書き味が悪い
- 以前に自分以外の誰かが使っていたペンであれば、元のオーナーの書き癖がついている場合があります。
これは、万年筆の最大の特徴である“手になじむ”ということで、元のオーナーの個性がペン先についている状態です。
ペン先に損傷がない場合でしたら、大方の場合、調整により新しいオーナーの書き癖をつけていただくことはできます。
しかし、イリジュウムの状態によっては完全に元のオーナーの癖を取るのが難しい場合もあります。
- 書いているとペン先から音がする
- 紙にペンを置くたびに“パチパチ”と音がすることがあります。
これは、切割(ペン先のスリット)の閉まりすぎにより、ペン先が重なっているか、もしくはイリジュウムが擦れ合っている音です。
こうなっていると、書き味が良くありませんし、インク出にも問題があることが多いです。
このような状態でしたら調整により改善が必要となります。
ただし、紙の上を走るペン先のサラサラとした音に関しては、調整では取ることができません。これについては、書き込んでいくことで、いずれ鳴らなくなる場合があります。
- インクが出なくなった、詰まっているようだ
- 長期間にわたりインクを入れたままの場合、インクが乾燥により詰まってしまいます。少しの詰まりの場合であれば、簡単に改善を図ることが出来ます。
カートリッジ式の万年筆の場合は、
- 首軸ごとコップに入れた水の中に一晩つけてください。
- つけ置き後、水洗いして、首軸の中やペン先回りの水分を柔らかい布またはテッシュペーパーで十分にふき取ってください。
吸入式の万年筆の場合は、インクを吸入する要領で水を吸って出してを数回繰り返してください。
水は完全な透明にはなりませんが、少しくらいのインクつまりならこれで使えるようになります。
ただし、吸入式で完全に詰まったと思われた場合は、吸入器は動かさないでください。
吸入器を無理に動かしますと壊れるおそれがありますので、何もせずそのままオーバーホールに出していただければと思います。
- インクが擦れる、書き出しが出ない
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- 書き出しの頭だけインクが出ない(書き出したらインクは出る)
- 書いている途中にかすれる
このような場合、多くは最初の調整不足か、書き癖とペン先の調整がマッチしていない事が考えられます。
再調整により、ほぼ改善することができますので、ご相談ください。
- インク出を多くしたい、あるいは出すぎるので少なくしたい
- 使っているうちに、「以前よりインクが多く出るようになってしまった」と、言うことがあります。
原因としては、落としたりぶつけたりしたためにペン先が曲がってしまっていたり、ペン先が広がり過ぎたりしている場合や、筆圧をかけすぎてペン先が広がってしまった等が考えられます。
また、インク出が少ない場合も、ペン先の損傷や、切割が狭すぎて流れが悪くなってしまった等が考えられます。
いずれにしても調整あるいは曲がり直し等が必要となります。
- 原稿の半分くらいは書けるが、途中インクが切れる
- 「最初しばらくは書けるが、途中から徐々にインクが薄くなり、やがてインクが出なくなる」と、言う事があります。
これは、“インクと空気の交換”がうまく出来てないと考えられます。
万年筆は、ペンからインクが出た分ペンに空気が入らないと次のインクが出ないという構造になっています。
このような時は、ペン芯にインクや紙の繊維などが詰まってしまっているか、ペン芯やペン先に不具合がある場合などが考えられます。
一見正常に見える場合でもペン先のゆがみなどがある時もありますので、ご相談いただければと思います。
- 一度インクが切れるとしばらく待たないとペン先にインクが溜まらない
- これは前項の「原稿の半分くらいはかけるが~」と、ほぼ同じ理由が考えられます。
軽いインク詰まりや、ペン芯やペン先に不具合がある場合などが考えられますので、ご相談いただければと思います。
- 引出しから出てきた(古い)ペンを使えるようにしたい
- 「昔使っていた懐かしいペンが出てきたから、使えるようにして欲しい」との相談をうけることがままあります。
オーバーホールによって使える事もありますし、時にはご自分で分解してしまって部品が欠損していることもあります。
いずれにしても、現物を拝見しないとご返答が出来ない場合が多いので、ご相談いただければと思います。
- インク漏れが発生する
- インク漏れには、様々な原因が考えられます。
部品の破損、取扱いの問題、経年劣化によるものなど様々ですし、また原因も一つだけとは限りません。
いずれにしても、現物を拝見しないとご返答が出来ない場合が多いので、一度ご相談いただければと思います。