インク出が不安定で出にくかったり、出すぎたりあるいは途中切れであったりと、特に横線が切れるとの事での調整依頼でした。
インク詰まりもありますがこれはさほどの事はありません、主な原因はイリジュウムの内側の研磨のし過ぎによる物でした、これは書き味(滑り)は良く感じるのですが時としてこのような症状が出てきます、きり割の内側を研磨しすぎると紙面に当たる部分に一瞬隙間が出来る事があります、この時にインク出不良になります。
これを調整するには、イリジュウムを再研磨しキリ割が常に紙面に当たるようにしなければなりませんが、決してイリジュウムに角度が付くような研磨をしてはいけません、時折このような研磨を見ますがこれではその角度に合った筆記角度でしか書けません、この角度から外れてしまうとザラツキや引っ掛かりの原因になります、又内側の研磨のし過ぎと言ってもごくわずかな物ですので、イリジュウムの形を変えるような研磨はするべきだはありません、あくまでもイリジュウムの形は変えない角は付けない、滑らかな研磨を心掛けなければインク出書き味共に満足の行くものになりません。
使い込んで良く内に付く角度は、そのオーナーの書き癖であり唯一無二の万年筆になります、これはオーナーにとって素晴らしい書き味の万年筆であり、決して人に貸してはいけません、書き癖はその人だけの個性であり自分以外の人とは同じではありません。