万年筆の達人のお店 小野萬年筆

ブログ

2022/12/09
コラム

【モンブラン】万年筆 No,82 吸入不良

モンブランNo,82 の吸入出来ないが修理可能かとの問い合わせです。

50年以上も前に製造中止になった物ですモンブランでは受け付てくれません、それで当店へのご相談となったのでしょう。  これくらい古い物になりますと電話だけでは答えようがありません(ほぼ修理不可ですが)、一度お送り頂きまずは現物を拝見してからになります、当店で出来るとしてもオーバーホールのみです、古すぎて部品は一切ありませんので何処か破損しての部品交換になれば、その時点で修理不可の判断になります。

今回は吸入不良との事でしたので、たぶん修理不可だろうと思いましたが、大事な人から譲り受けたもので、直せるものなら直して使いたいとの事でしたので、お送り頂くことになりました。

届いたものは、年代物にしては綺麗で部品の欠損も破損もなく、手入れをすれば十分にご使用いただけると判断し、修理をお受けすることにしました。

吸入不良の原因は、インナー尻軸の空回りでした、この尻軸は金属の鞘の中に薄く削った樹脂の尻軸をはめ込み接着をします、このインナー尻軸の接着が外れたことが原因でした。

通常この修理は部品(尻軸)交換になりますが、部品は全くありませんので、このインナーを接着しなおすことにしましたが、金属の鞘から(金属の尻軸)中の樹脂の尻軸を外すのが大変です。

インナーを止めている金属の爪を慎重にゆっくりと起こしてゆきます、中のインナーは樹脂を薄く削っておりますので少しでも力を加えると割れてします、又金属の爪は折れてしています、時間を掛けてゆっくりと作業を進めます。

今回はうまく行きました、これさえ直れば後はペン先調整と組み立てだけです、とにかく古い物ですので経年劣化に注意しながらの作業になります、久しぶりの手間のかかる修理でした。

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2022/12/07
コラム

【モンブラン】万年筆 No,149

長い間インク入れたままで放置されていたとの事で、吸入器が全く動かない状態でした、このようなときに無理に尻軸を回しましと、固まったインクが胴軸内部を傷つけ、気密の漏れによるインク漏れの原因になります。

今回オーナーは無理をすると壊すかもしれないと思い、そのままお持ちになられました正解です。  
オーバーホールのみで胴軸は交換しなくて済みました、がペン先全体にゆがみがありこのままではインク出の不安定と書き味に問題が出ますので、オーナーからのペン先調整の依頼はありませんが、直し調整をしております。

これで吸入出来るようになりました、また書き出しの切れも無くなり、書き味も良くなりインク出も安定するようになりました、これでまた何十年も愛用頂けます。

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2022/12/03
コラム

【モンブラン】万年筆 ペン先細字直し

モンブランNo,144  黒 漏れとペン先細字直しの依頼です。

インクが漏れるのとインク出が多く、ペン先も太い、さらに書き出しが切れてとにかく使いづらくて困っているとの事、とキャップが緩く抜け落ちるとの事です。

入手当時は英語を主に書くので少しくらいの太目でも問題はなかったと事ですが、最近は罫線の細い手帳に記入することが多くなり、書きづらく感じるようになってきたとの事です、又オーナーは左利きですので、筆記時のペン先はあたりが右利きとは逆になりますので、その調整も気にかけなくてはなりません。

残念ながらこのNo,144のインク漏れは止められません、部品交換しても少しの間は漏れませんが、しばらくしますと漏れるようになります、なぜか原因は判りません。

よって今回は、ペン先細字直しと初筆切れをまず直してほしいのと、書き味の調整とインナーキャップの交換の修理依頼です。

まず分解、洗浄後インナーキャップの交換、ペン先全体のゆがみ曲がりの点検調整後組み立てて、細字直しになりますかなり細くなりました、オーナーの希望で出来るだけ細くしてほしいとの事ですのでEEFに調整しました、それでもザラツキや引っ掛かりは無いように、又インク出もかすれない様に調整しました。

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2022/12/01
コラム

【モンブラン】万年筆 No,149

旧型 14金中白「B」ポイントのNo,149の修理調整の依頼です、ペン芯はエボナイトの切れ込みの入った二枚舌の物になります。

時間はかなり経過しておりますが、全体はかなり綺麗でまだ十分にご使用いただけるものです。

インクを入れたままになっていたので、詰まってしまいまたそのせいでピストに傷がつき漏れが見られました。

ペン先も“B”ポイントいう事で、角度によっては書きづらさを感じられたのでしょう、ペンカバーと首軸の間のシールも古い物ですので経年劣化しておりました、全てを分解し、洗浄し磨きをかけて、ペン先のゆがみの調整をして、新しいピストに交換して組み立て直します、

これでオーバーホールは完成です。

次はペン先の調整です、Bポイントは少しの傾きでも初筆が出にくい場合があります、これはモンブランBの特徴で縦横の線の幅に違い出るように作られているためで、ただ太いだけのBではありません、これにより筆跡に変化出て豊かな表現が可能になり楽しい書き味を体験できます、ただそれでもやはり使いづらく感じる人もおられますので、それはそれで少し調整をすることでより使いやすく、心地良いものになりさらに楽しい書き味を体験出来るようになります。

今回は少しの傾けにも対応できるように調整しております、インク出もBらしく少し多めの感じに仕上げました。

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2022/11/29
コラム

【シェファー】万年筆 レガシーヘリテイジ パラジュウム

シェファーの少し前のタイプになります、ペン先を落として曲げてしまったとの事。
このタイプは、ペン先が首軸に組み込まれておりますので、ペン先曲がり直しをするにはペン先を外さなければなりません、が当店にはその工具がありません
メーカー出しになります、おそらくペン先交換になるのでしょうが、シェファーの修理を受けてくれるところがありません、何処の店も代理店も輸入元が無いので修理を受けられません。
このようなことで一度はお断りしたのですが、大事な人からのプレゼントで思い入れも多くこのまま使えなくなるのは申し訳ないとの事で、何とか直してほしいとの強い要望がありましたのでお受けしました。
ペン先を外せないのでこのまま首軸に取り付けたままでどこまで直せるか判りませんし、直しの途中でペン先が折れる事もあり、十分に使えるようになるか修理を実行しないと分かりません、折れた場合も折れたままでお返しすることになりますとの、了解を得た上でのペン先曲がり直しになりました。
さすがに、首軸に付いたままでは直しにくいですし、思いのほか硬いペン先で曲がりを起こすのにとても手間がかかりました、出来るだけ仕上がりも綺麗に傷が無いようにと思いましたが傷を取り切れませんでした、曲がった痕跡が少し残ったままになりましたが、書き味を優先しこのままでのお返しになりました。
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2022/11/12
コラム

【モンブラン】万年筆 モンブラン ヘリテイジ ノワール トロピックブラウン

大変綺麗なデザイン、さすがモンブランと思いますそんなモンブランでも落とせばやはり損傷します、今回は落下によるペン先の曲がりでした、軸には傷もへこみもなく、ペン先も見た目はそれほどひどい曲がりではありませんでしたのですぐに直ると思いましたが、書き味がなかなか良くなりません、おそらくですが初めから書き味に問題があったのか?と思います、わずかなザラツキと引っ掛かりがなかなか取れなくてなくて、調整に手間がかかりました。

ペン先は「F」で小さなイリジュウムです、今回の調整がオーナーにとって最善とは限りません、常に再調整が可能な様にしなければなりません、極力イリジュウムを研磨し過ぎないように、磨く程度に収めるようにと心がけて調整しました。
特に郵送での依頼は、言葉でのやり取りになりますので、オーナーの微妙な感覚の受け取り方もズレが出てきます、そのためには常に余裕は必要になります。
外国製は比較的イリジュウムが大きく、調整にも余裕と幅が持てます。

 

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2022/11/08
コラム

【モンブラン】万年筆 P149 インク出不良

インク詰まりによるインク出不良でした。

今年夏ごろにペン先曲がり直しをしております、当然その時にオーバーホールもしております、がにもかかわらず短期間でのインクが出ないとの事での依頼です、分解した所ひどいインク詰まりです、ペン芯・ペン先の裏にべったりと、また軸の中にもしっかりとインクがこびりついておりました。
何処のインクか分かりませんが、溶けないで混じっているだけの成分が入っているようです、このようなインクを使うときには、こまめに水を吸って出してと洗う必要がありそうです、たぶんそれでも水溶性の成分のみのインクよりは詰まりやすいのではと思います。
この万年筆は当店でお求め頂いた物ですので、前回のペン先曲がり直しも今回のオーバーホールももちろん無料での直しになります。

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2022/11/04
コラム

【モンブラン】万年筆 ソリテール ステンレス ルグラン

モンブラン ソリテールステンレス ルグランのインク漏れの依頼です。

分解した所、軸に損傷はありませんでしたがペンカバーにヒビが在り、これが漏れの原因でした、ペンカバーを新しい物交換すれば漏れは直ります、がオーナーからの指摘、依頼はありませんでしたがインクが全く出ません、ペン先の締まり過ぎが原因です、それとペン先のざら付きがあり、書き心地がひどく悪いため依頼はありませんがこれも調整しました。

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2022/10/21
コラム

【ウオータマン】万年筆 ル・マン100 

 

ウオータマンマン 「ルマン100」 綺麗で高級感がありほしくなりますが、製造を中止して久しくなります。
外国で入手されたとの事で、久しぶりにインクを入れようとしたときに首軸が外れなくなり、胴軸の中から金属性のインナー同軸が外れてしまい、首軸が固着したままで外れなくなりインクが吸入できなくなってしまったとの事。

原因は差し込んだカートリッジインクの差し込み口が破損し、胴の中でインク漏れ起こしそれを長く放置していた為、漏れたインクが固まり首軸が固着してしまったのです。

何もしないでそのまま持ち込まれたのは正解です、無理にこの首軸を回そう(外そう)すると、おおかた壊してしまいます。

まずは時間を掛けてゆっくりと固まったインクを溶かします、インナー胴軸が外れれば、ペン先に固まったインクも同時に溶けて分解が出来ます、後は綺麗に洗って組み立て直しペン先の調整をして書き味を調整します。

ただこのペン先はイリジュウムが少し欠けており、引っ掛かり・ザラツキがひどく使える状態ではありませんでした、たぶんこれが原因で使わなくなったのでは、と思います。

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2022/10/18
コラム

【モンブラン】No,146 ペン先細字直し

モンブラン No,146のペン先細字直し、EFEEF位にとの依頼です。

EFのペン先ですが、これでもご自身にとっては太く感じ、使いづらいとの事です。

このEFは少し以前のモンブランEFで、現在発売されている“EF”よりは太目に調整されております、もともとのモンブランのEFはこの太さですので太いという事はありません、が日本語の特性上、英語のような単純な線ではありませんので、画数の多い漢字などは潰れてしまい気にもなります、もっとシャープな線でキッチリと表現したいと思うオーナーは多くおられます、当店にもその様な依頼はたくさんあります。

我慢して使っていても良いことはありません、その様な時は出来るだけ早く自分の思うように調整される事をお勧めします、もう少しこの角度で書き味が良かったら、もう少しインク出が少なければ・多ければと思いながら使い続けるのはかなりしんどいものです、だんだんと使うのがおっくうになってきます、やがては引き出しの奥に入ったままになってしまいます、高価な筆記具ですので思いきっり使ってください。
万年筆は酷使するほどにオーナーの書き癖に馴染んで行きます、どんどんオーナーの癖に合わせてくれます。

このNo,146は今日がスタートです、これからが本番です。

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