メーカー・年代は判りません、オーナーもご存じなくただこの木製のデザインが気に入っているとの事で使えるようにしてほしいとの依頼です。
ペン先はスチールペン先、たぶん外国製かな?と思われます、ただ万年筆はメーカーが違っても、おおよその構造は判りますのと原理はどれも同じですので、オーナーの断っての希望もあり引き受けることにしました。
実はこの調整は再調整になります、一回目は6月の半ばに預かりオーバーホール、ペン先調整をしてこれでよしと思いお返ししたのですが、2週間ほど経った頃、以前よりはずいぶん良くなったがやはりしばらく書いているとかすれてくるとの事でした。
もちろん一回目の調整後も試筆はしておりますが、今までの経験上、これよしとの思いで
自信をもっておりましたが、まだ直り切ってないとの指摘に、そんなはずは?なぜとの思いでした。
再度お預かりし、原因は何処か?何が良くないのか、今までは問題なく使えていたのですから、何処かしら原因があるはずです。
オーバーホールは済んでおりますのでインク詰まりではない、筆圧の強いオーナーですのでそれが原因かとも思いましたが、果たしてその程度でインク途中切れになるだろうか?ただペン先のきり割に中ほどにわずかに上下のズレがあるのと、イリジュウムの内側の取りすぎかなとも思いました、まずはこの直し調整で再研磨を実行することにしました。
まずペン先のイリジュウムとハートポイント(穴)の間のズレを直しペン先の形を整え、次にイリジュウムを再研磨し「馬尻」を解消するようにしました。
これで原稿用紙に試筆をし、初めと最後のインク出を確認しこれで良しと思いましたがしたが、さてどうでしょう良いか悪いかを決めるのはオーナーです。
万年筆はほんとにデリケートだと再確認しました、又過去数十万本ものペン先調整をしてきましたのにいまだ判らないことがあります、今回もハッキリしたこれが原因としたものは判りませんがたぶんこれだろうとあたりを付けて、直し調整をしました。
オーナーにとっては大切な一本ですので壊すことは出来ません、まして他に代替えがありませんので、慎重になります。