2021/03/11
コラム
【モンブラン】万年筆 細字直し
作家シリーズ アレキサンドル・デュマ
ソリテール No,1466
モンブラン 作家シリーズ 限定 アレキサンドル・デュマとNo,1466(スターリングシルバー製)二本のペン先細字直しになります。
アレキサンドル・デュマは元は”M”のペン先でした、それを細くしたいのと書き味をよくしたいとの事で、どこかでペン先の研磨されてさらにそれをご自身で研磨したとの事でした。
かなりひどい状態でした、イリジュウムは三分の一ほどになっておりさらに左右のイリジュウムの大きさが違い、ジュウムの内側を取りすぎでした、これをさらに細くし書き味と安定したインク出を確保するのはさすがに無理だろうとお断りしましたが、ペン先交換もやむ得ないとの事でお受けしましました。
初めにどのような調整をすべきかどこをどの程度研磨すべきかまずイメージをし、それから慎重に作業を行いました。
イリジュウムがほぼありませんので調整はほぼ一発勝負になります、本来モンブランのイリジュウムはEFと言えども十分な大きさがあり、何度かの再調整は出来るのですが今回は余裕がありませんでした、研磨は最小限に留めることができて書き味もそこそこでインク出も安定したかなと思います。
No,1466 元のペン先は”M”です、これもどこかで研磨したと事ですイリジュウムが先端に行くほど尖っており、イリジュウムの腹がなくなっており、全体が矢じりのような形になっておりました、オーナーはこのような研磨を希望されたとの事でしたが、ザラ付がひどくインク出が多くてとても使いずらいとの事で、思い切ってEFにしたいと事でした。
誰かがいじった(調整)したペン先は大変調整がしにくくこれもお断りしたのですが、たっての依頼でしたのでお受けしました。
細くともインク出は安定して良くなりました、書き味もほぼ確保できました。
2021/03/11
コラム
【モンブラン】万年筆 No,146 ペン先細字直し
モンブラン No,146のペン先細字直しになります。
”M”のペンポイントですが最近太く感じるようになり同時にザラツキがありインク出も多くとても使いにくく、引き出しの奥に入ったままになっていたとの事でした。
せっかくのモンブランこのままではかわいそうなのと持ったいないとの思いで、自分の好みの書き癖に合わせたいと依頼されました。
元のペン先は「M」ですが「EF」に出来ないかとの相談でした、通常細字直しは一ランク位の直しにしております、さらに細くも出来ますがいきなり細くしすぎると落差が大きすぎて、こんなはずでは?と思っても元に戻せませんので、一ランク位までにしております、ただ今回は出来るだけ細くとの依頼でしたのでなるべくEFに近付けるように調整しました。
2021/03/05
コラム
【モンブラン】万年筆 No,149 ペン先曲がり直し
モンブラン No,149 14金 中白のタイプです。
お子さんにぶつかられてその拍子に落としてしまったとの事でした、ペン先が曲がりペン芯が折れて結構な損傷になりかなり落ち込んでおられました。
長い間大事に使い相棒となっていたモンブランNo,149の「B」ポイント、一時はペン先交換とかとあきらめていたとの事ですが当店に相談に来られ、”直りますよ”の返事に大変喜ばれ預かり修理になりました。
いざ修理にかかりますと片方のペン先が単純に反り上がっているだけではありませんでした、ペン芯が折れるほどのショックがあったためかペン先全体にゆがみがあり、ハートポイント(ペン先の穴、昔はハート型していたのでそのように言います)からイリジュウムにかけて反って入る方のペン先も波打つように曲がっており、これを直すためにはペンチ(専用の物)で挟んでゆがみを取りますがそうすればペン先のロジュウムメッキに傷が入りますので出来るだけペンチは使用せず直さなければなりませんでしたが、御覧のようにきれいに直りました。
オーナーの書き癖のままに直すことを心掛けました。
金は軟らかいため、曲がり直しをしますときり割のどちらかのペン先が伸びてイリジュウムに段差が出来ます、そのままでは引っ掛かりが出ますのでイリジュウムを研磨してペンポイントを揃えます、こうなれば元の書き癖は無くなりまた新たな癖をつけなくてはなりません、使い込んで数年の年月がかかります。
2021/03/03
コラム
【モンブラン】万年筆 No,146 インク漏れ
モンブラン No,146のインク漏れです、書く度に手が汚れて困るとの事でした。
長い間首軸を拭きながら使っていたとの事です、外見上の見た目には何処も悪いところは見当たりません、インクもキッチリと吸入でき書き味もいつもと変わらず良い物でした、ただいつの間にか首軸にインクが滲んおり気が付けば写真のように水滴のようなインクが付着している状態でしたので、修理調整をためらっていたとの事です、がやはり手の汚れが気になり当店に修理の依頼がありました。
今回の漏れは分解しなければわかりませんでした、ピストンの劣化もありましたが一番の原因はペンカバーの小さなヒビでした大きく割れてればすぐにわかりますが小さなヒビはじりじりと漏れますので、修理に出すタイミングがつかみにくいのかもしれません。
万年筆はどこかに不具合を感じますとそこばかり気になりストレスを感じてしまいます、使うことがおっくうになりやがて引き出しに入ったままにもなります、万年筆は他の筆記具と異なり少し手間はかかりますが、ボールペンやメカニカルペンシルと違いキッチリと調整された万年筆は代えがたい相棒になります。
今の寒い時期にインク漏れと似た現象が起こることがあります、注意してください。
気温の低い外から暖かい室内に入った時にキャップの中にインクが落ちることがあります、これはインクタンク内部の空気が暖められて膨張しペン先に含んでいるインクを押し出すことがあります、万年筆の基本的な性格ですので直すことは出来ませんがある程度防ぐ事は出来ます、この現象が見えましたらインクを一杯に吸入してください、空気の層を出来るだけ少なくすることによって防げます。
ただ現在販売せれているものは昔と比べかなり性能はよくなり、あまり見かける事は少なくなりました。
2021/03/02
コラム
【モンブラン】万年筆 No,149 ペン先曲がり直し
モンブラン NO,149のペン先曲がり直しになります。
机から落とされたとの事です、万年筆に限らず筆記具はショックには弱いです、落とせばどこかしら不具合が生じます何もなければラッキーでしょうか。
万年筆はペン先が金のためでしょうか?なぜかペン先から落下してしまうようです、固い床でなくとも今までと違う書き味になってしまいます、こうなればオーナーでは直せません万年筆は構造は単純ですが微妙なバランスで出来ておりキッチリと調整しなくては書きずらい物になります。
見た目で曲がりはなくとも全体のゆがみが出る場合もあります、このゆがみはザラツキ、引っ掛かりはもちろんですがインク出が安定せず太くなったり細くなったりします、やはり分解しペン先の形を整えなければ改善しません、全体のゆがみを取るだけでおおかた書き味もインク出も安定しますが、まだ書き味が悪い場合に初めてペン先(イリジュウム)の研磨になります、この時も最小必要限度にしなければなりません研磨した事が判らない程度の調整が理想になります。
この研磨調整がオーナーにとって必ずしも最善ではありません、人によって書き味の感じ方が違いますので常に再調整の余裕を持つようにしております。
又、ペン先の曲がりは大きく上に向いても横に向いていてもヒビや折れがなければ直せることがあります。
2021/02/18
コラム
【ペリカン】万年筆 M600 ボルドー ペン先細字直し
ペリカン M600 レッドストライプ ペン先「M」ーー>「F~EF」位に細字直しです。
8年前にお求め頂いたペリカンになります、当初は太めのペン先が良いとの事で”M”をお求め頂きましたが、最近になり細いペン先が必要になる事が増えてきてMの出番がなくなってしまったとの事でしたので、このMを出来るだけ細目に調整しなおすこととなりました。
F位からEFに近付けてほしいとの事でしたので、FとEFの間位に調整しました。
当店でお求め頂いているものになりますので、これも無料の修理調整になります。
2021/02/16
コラム
【モンブラン】万年筆 軸磨き No,149 レッドゴールドコート
今回は、オーバーホールと軸の磨きです。
一年ほど前にお求め頂いたNo,149 レッドゴールドコートです、落としてしまったので異常が無いかの点検の依頼でした。
幸いひび割れ、ペン先にも異常はありませんでした、インク出も滑らかですらすらと気持ちよく書けました、が傷があちこちに入っており深い傷もありました、ご本人は落とした為の傷であきらめて少しがっかりされておられましたが、磨けることをお伝えすると是非にと言うことでした。
モンブランの樹脂は大変品質が良く耐候性があり光沢があり、何よりその手触りは本当に良く握った感触はしっくりとして肌に添う感じがあります、この握り心地は書き味に影響します、お持ちの方は一度比べてみてくださいすぐにお分かりいただけます、耐候性が良いということは劣化しにくいので磨けばすぐに元の輝きを取り戻せるということになります。
これはまだ一年ほどですので劣化はしてませんが傷を取るため磨きましたbefore and afterの写真になります、深い傷がありますので完全にとり切りませんが気にならない程度にはなりました。
初めの写真4枚がbefore 後の5枚がafterの写真になります。
ただあまり深い傷を無理に取りますと変形しますのでそこまではしません、磨きは一度すべてを分解し部品の一つ一つを磨き組み立て直しますのでかなり手間のいる作業になります。
この磨きも当店でお求めですのでもちろん無料でしております、これ以外にもペン先曲がり直しもインク出調整も、書き味の調整もすべて当店で出来る事はいつでもいつまでも無料でしております。
2021/02/15
コラム
【モンブラン】No,149 インク出不良・ペン先調整
モンブラン 14金 中がロジュウムメッキされたものです、約40年位前の物になります長い間インクをいれたままにされておりましたで、インクが固まり切っており分解するにもかなり時間かかりました、ペン先もイリジュウムだけが少し開いておりました。
これくらい旧型でひどいインク詰まりにもかかわらず損傷がありません、特に軸内部に傷がありません、これは無理に吸入器を動かなかったからです。
これを無理に尻軸を回して吸入を出来るかとか尻軸が回るとかを試されると、固まったインクが同軸内部を傷つけて気密が漏れてインク漏れに至ります、そのようになれば同軸の交換で修理代も高いものになります。
良くインク詰まりこのようにすれば解消できると言うようなことをネットなどにありますが、それは軽いインク詰まり位と理解される方が良いとおもいます。
基本は分解し部品の一つ一つを洗う、時にはゆっくりと時間をかけてオーバーホールすることにより蘇ります。
後はペン先の直し・書き味の調整、インク出の調整になり完成です。
2021/02/13
コラム
【モンブラン】万年筆 No,145 ペン先ザラツキ・引っかかり直し
新品のモンブラン No,145のEFになります。
ザラツキ・引っ掛かりがひどく、EFのわりにインク出が多くとても使いづらく入手以来使用できずにいたとの事です。
見た目には問題ないように見えますが、ペン先を外すと全体にゆがみがあり、イリジュウムの研磨が不十分で角がありました、これが原因での不具合です。
最近は試し書きが出来ませんので、入手したけど自分の手に(書き癖)合わない、初めから不具合と言うことが稀ですがあります。
万年筆は工業製品ですが、ペン先、ペン芯、ペンカバーと組み立てたときに一本づつ書き味が違ってきます(これが万年筆です)、何本かの中から自分に合ったものを選べれば良いのですが、昔のように試し書きが出来ないところが多くなりました、やはり万年筆は試筆・調整は必要と思います。
本来販売するときに、ユーザーの希望、書き癖にキッチリ合わせて販売するのが本来の姿と考えます、万年筆はボールペンなどと違い誰が使っても同じと言う訳には行きません、100本あれば100本の書き味、100人おれば100の書き癖があります、万年筆は確かに少し面倒ではありますが、ご自身の書き癖のツボにはまればこれほど素晴らしい筆記具はほかにはありません、入手時にキッチリとご自身のツボにはまるように調整してください、生涯の友になります。
2021/02/08
コラム
【モンブラン】万年筆 No,149 No,146
ペン先曲がり直し・インク漏れ
モンブランNo,149とNo,146のともにインク漏れとペン先直しの修理になります。 修理前の写真を撮り忘れましたので修理後の写真のみになります、ペン先はわずかな曲がりになりますが、インク出が悪くザラツキがありました。
このNo,149は40年ほど前の物になります、14金ぺン先で中がロジューウム仕上げの白い物で開高健モデルなどと言われるものです。 このタイプはペン先は14金でありながら比較的ペン先の腰が柔らかく弾力があります、現行の18金の物より柔らかく感じます、たぶん切り割から先端にかけての両脇のカットが鋭角になっている事も影響しているのだとおもいます、これ以外にもペン先の肉厚だとか、14金の合金の違いなども影響しているのだとお思いますが、この柔軟でありながら腰の強いところが人気なのでしょうか。
この時代のEFはイリジュウムの先端が刀の先端のようになっておりますので縦線は細くなりますが横線はかなり太くなります、たまに太字と間違えるオーナーがおられます、これも太字と思われてましたので希望によりモンブランの10年くらい前のEFに調整しております(現在のEFはうんと細く調整されております)。
もう一本のNo,146も同年代の物で、これもペン先の曲がりと、インク詰まりと、インク漏れがありました この年代のNo,146は首軸までは外すことが出来る物があります、簡単ではりませんが首軸を外し新しいシール剤でキッチリと組み立て直すことによってインク漏れを防ぐことが出来ます。
メーカーでの同軸を取り換える方法もありますが、一部分のみ新しい物になる事によるアンバランスな感じはあります、がこの修理方法により経年による全体の調和がとれると思われます。