2021/01/28
コラム
【モンブラン】万年筆 No,146 ペン先曲がり直し
モンブランの旧タイプのNo,146です、37~8年以前の物になります。修理前の写真を撮り忘れましたので修理後の写真だけです。
インク漏れとインク出不良の修理依頼です、インク漏れは古いシール剤とピストンの劣化でした、ピストンを交換し新しいシール剤で直りましたが、インク出不良はペン先が少し上下にズレているのと、これも少し横にペン先が曲がっているのが原因です、それによってインク出が不安定になり引っ掛かりがあり書きずらい物になっていました。
曲がり直しと、イリジュウムの再研磨で滑りの良い、安定したインク出になりました、これでまた長い間快適にご使用いただけるものと思います。
ペン先も赤く変色しておりました、これも磨きましたので元の金の輝きを取り戻しました。この赤くなるのは品質の劣化ではありません、ペン先は14金もしくは18金ですので58.5%もしくは75.0%が金ですが残りは銀・銅などの他の金属になります、この銀・銅またはそれ以外の金属が硫化や酸化をしペン先が赤くなります、ただしこれは表面だけのもですので品質には全く影響しませんし問題もありません、表面を磨けば元の美しい金の輝きを取り戻せます。
数年前の修理の時、これもあまりにも赤くなっておりましたので、いつも道理磨いてお返ししたところ、「長年使いこんで赤くなった物これが気に入っていると、余計なことをした」とクレームではありませんがお叱りを受けてしまいました、なるほどこう言うところにもこだわりがあるのだと、思い知らされました。
これは今回の修理とは全く別の話ですが思いだしましたので書いてみます、これもなぜ直したとクレームを受けたことがありました、これは世界的に有名な文学賞を受賞された作家(故人)の万年筆のインク漏れの修理を依頼された時のことです。
作家ご本人ではありません、その万年筆を譲られた方からの依頼の修理です。
その万年筆はインク漏れと同時にペン先も横に大きく曲がっておりました、修理依頼書にはペン先のことは直せとも直すなとも書いてありませんでしたが、このままでは使えないのでペン先も直すものだと思い、曲がっているペン先を直し書き味も調整して、軸もペン先もピカピカにしてお返ししたところ、しばらくしてからなぜペン先の曲がり直したのかと叱れました、なぜ怒られるのかといぶかりましたが、その作家の万年筆を譲られた方はその曲がったまま譲られたので、曲がりそのものが思い出だと言うことでした(その時に初めて作家の名前を聞かされました)。
私は思い出まで修理してしまったことにその時気づきましたが、まさか元のように曲げて返すこともできず、謝って許していただきました。
言い訳になりますが、常日日頃修理調整をしている職人としては壊れているものはつい直してしまう習性が身についておりますので、快適に使っていただければとの思いで直してしまいました、人の思いを受け止めるのは難しいと思います。
その時、万年筆はただの道具だけではないと改めて思い知らされたしだいです。
以前にはこんな事もありましたが、やはり当店では受けた修理調整はオーナーの気づかない所もキッチとすべきとの思いは昔も今も変わりません、そのつもりで修理調整を受けておりますし、販売した物は当然当店で出来る事は全て引き受けるべきと考えて、調整・オーバーホールなども出来る事は全て無料でしております。
2021/01/20
コラム
【モンブラン】万年筆 No,149 ペン先曲がり直し
まだ新しい、モンブラン No,149のペン先曲がりです。
筆記中に机から転がり落てしまったとの事です、曲がり事態は大きな曲がりでは無いのですが、イリジュウムの際で曲がっておりますので”危ない”曲がりです、この曲がりはイリジュウムと金のペン先の接合部分にヒビが入ることが多く直しの途中で折れることがあります、今回はヒビは無いようでうまく直りました。
通常このような曲がり直しをしますと金の部分が伸びてどちらかのイリジュウムが長くなります、この場合イリジュウムの研磨して長さを合わせて書き味を調整しますが、そうなれば元の書き癖がなくなり新たに一からペン先を育てなければなりません、たまたま今回は書き癖が付く前でしたが長年使いこんだペン先なら本当にガッカリしてしまいます。
ペン先曲がり直しにおいてはペン先の金の部分が伸びないように、極力元の書き癖のままに直すようにしております。
今回のペン先曲がり直しも思うように仕上がり、極わずかな微調整でかなり良い書き味に仕上がりました。
現在のモンブランの”EF"はかなり細く仕上がっております、国産の細字にクラスになっております、これをオーナーの好みに書き癖に合わせて調整すればさらに良くなります。
この直しは、オーナーの好みに合わせて調整しております。
2021/01/19
コラム
【ペリカン】万年筆 M800緑縞 Fの細字直しEFへ
今回は4年前にお買い上げのペリカン「F」の細字直しの依頼です、もちろん当店でお買い上げですので、メーカーに出さない修理調整は全て無料です。
他に「F」のペン先があると言うことで手持ちのペリカンを、EFに出来るだけ細目にしてほしいとの依頼を受けました。
ペン先も少し下に曲がっておりましたので、まずそれの直しをし、次に”EF”への細字直しになります。
まず定番の”EF”位に仕上げました、さらに細くと依頼があれば”EEF”位も可能です。
2021/01/15
コラム
【ペリカン】万年筆 M800緑 ペン先細字直し
ペリカン M800 緑縞のペン先書き味と細字直しの調整になります。
ザラツキはペン先が少しですが下に向いて曲がっているのと、イリジュウムの先端が内向きに微妙に曲がっておりました、これはインク出が安定しないのと、滑りが悪くなり、引っかかるほどではないのですが、”ザラ”としたなんとも気持ちの悪い落ち着かない書き味になります。
我慢すればできなくもないですが、せっかくのM800やはり気持ちよく、ペン先の太さもご自身の希望の太さで使ってこその名器ではないでしょうか。
かなり細く、インク出も安定してヌラヌラと書かるようになりました。
2021/01/14
コラム
【モンブラン】万年筆 No,146 ペン先曲がり直し
筆記中に机から転がり落ちたとの事でした、なぜか万年筆は落ちるときペン先を下にして落ちるようです、幸い固い床でなかったのでペン先は折れませんでしたが、ペン先は大きく開き書ける状態ではありません。
ペン先の曲がりを直しをして、研磨しなおしてインク出を調整しております、かなり良い書き味になりました、これでまた十年二十年と使っていただけます。
2021/01/14
コラム
【モンブラン】万年筆 No,149旧型14金 中白タイプ細字直し
No,149の14金ペン先 中白のタイプです(開高健モデルですか?)、基よりこのペン先は”EF”ですが、昔のイリジュウムは横幅は狭いのですが縦が長くなっておりますので、縦線は細く書けるのですが、横線はかなり太くなります、又14金にしてはペン先の腰が柔らかいので少しの筆圧でもペン先が開きやすくなります。
このペン先は縦横の線の太さを合わせ、強めの筆圧に対応できるようにしインク出を少なめに調整しました。
元より”EF”のペン先ですが極端に細くならないように調整しました。
万年筆は少しの違和感でも気になります、ストレスの元になります、これを書き込んで慣らそうとするとかなりの時間がかかります、その内に使うのがおっくうになりやがて引き出しの肥やしになってしまいます、せっかくの万年筆ご自身の好みの書き味に仕上げて存分に使ってください、さらに良くなり手放せない一本になります、こうなれば他の筆記具には無い代えがたい物になります。
2021/01/13
コラム
【ペリカン】万年筆 M800ブルー インク漏れ
少し以前のペリカンM800ブルー縞の首軸のヒビによるインク漏れです、セロテープを張っている所にヒビがありました。
極些細なクラックのためじんわりとしたインクの滲みでした、原因はハッキリしません。
16~17年前の物でも当たり前に修理出来ます、これもモデルチェンジしない頑固なドイツ気質でしょうか、これより古い物でも普通に修理出来ます(限界はありますが)これは安心材料です。
万年筆は20年30年それ以上に使います、書き込めば書き込むほど手に馴染みます、一部が破損して使用できなくなるのは悔しくて寂しい物です、新しい万年筆がそれより高価であっても決して使い心地が良いとは限りません、やはりこうしてキッチリと修理出来るというのは、本当に安心できるのものです。
次の代にも引き継げます。
2020/12/25
コラム
【ペリカン】万年筆 M800 茶縞 ペン先ザラツキ直し
今回は、書き味が悪いザラ付く、少し引っ掛かりるという調整になります。
ペン先が曲がっている訳でなくずれている事もありません、又ひどく書き味が悪いというわけではありません、がやはりどうにも我慢が出来ない書き味と言うことでお持ちになられました、ペン先調整の中でこのような調整が一番むつかしい調整になります、これまで30万本近くのペン先調整を行ってきましたが、やはりいつも難しいと感じます、お客さんの書き癖を見てそれに合わせるように調整しますが、それでもお客さんの個性と調整する私の個性が違いますので、これはいい書き味になったと思っても必ずしもそのペンのオーナーにとっていいとは限りません、このあたりがなんとも悩ましいところです。
店に来ていただいて試筆をされてこれで良いとなっても、家でご自身のデスクで書いたときにもう少しこの様になったらという希望が出て来る事もあります、そのような時のために、ペン先調整は常に二度でも三度でも再調整が出来るように、常にイリジュウムに余裕を残すように気を付けております。
2020/12/24
コラム
【モンブラン】万年筆 ソリテールデュエ・シグナムクラッシック細字直し
今回はソリテールデュエ・シグナムクラッシック No,144タイプのペン先細字直しです。
もとより「M」ペン先でしたが手帳などの細い罫線に書き込むことが多くなり”M”では太すぎて、文字がつぶれ書きずらいとの事で出来るだけの細字を希望されました。細くするときはイリジュウムだけではなく金ペンの部分から細くしますので、あまり細くしすぎますとペン先全体の形が悪くなりおますので、いつもなら一ランク位の細字直しですが、今回は一気に「EF」までの細字直しになりました。
写真初めの4枚は調整前後の3枚が調整後になります。
2020/12/21
コラム
【モンブラン】 NO,146 インク漏れ&ペン先調整
モンブランNo,146のインク漏れと書き味の調整です。
古いタイプのNo,146でペンカバー・首軸が緩んでおりインク漏れしておりました、このタイプのNo,146は全てが分解できます、完全に分解し古いシール材を取り除き、音波洗浄機で洗い新しいシール剤で組み立て直します、このNo,146はかなり傷が目立ちましたので、バフで出来るだけ磨き傷を取りました、持ち込まれた時に比べれば見違えるように輝いております、モンブランの素材は良さが際立ってます。
ペン先は、時間の経過で赤く変色しておりますが、これは金以外の金属が、たとへば銀・銅などが表面的に色が変わっているだけで、品質には何ら問題あるものではありません、磨けば元の輝きになります。
初めの写真3枚は修理前、で後の4枚はペン先調整&オーバーホール後になります。